「お得だから」と、特売の野菜をたくさん買ったけど使いきれなかった……。
得した!と思っていたのに、結局使えなくなってがっかり、なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。
野菜の代表的な保存場所といえば、冷蔵庫の野菜室ですが、じゃがいもなど常温で保存が可能な野菜もあり、それぞれに合った方法で保存しているご家庭も多いはず。一方で、「冷凍室」での保存については、野菜の種類に限らず“向かない”と思っている人も一定層は存在しており、適した保存方法がまだまだ知られていないと考えられます。
今回は、「野菜は冷凍しない方がいい?」のウソ、ホントについて、専門家のコメントも踏まえつつ、まとめてみました。
野菜は冷凍しない方がいい?
目次
38.7%の人は「野菜は冷凍に向かない」と思っているけど、野菜は冷凍したほうがいい!?
「ゆとりうむプロジェクト」が行った、野菜の保存方法に関するアンケート調査では、全体のうち38.7%の方が「野菜は冷凍保存に向いていないと思う」と回答しました。その理由としては「冷凍すると味が損なわれると思うため」が最も多く、その他に「野菜の適切な冷凍・解凍方法を知らないため」とやり方に関する理由があげられていました。
冷凍博士を直撃!「野菜って冷凍に向かないんですか?」
では、本当に野菜は冷凍保存に向かないのでしょうか。ゆとりうむプロジェクトも参画する「冷凍貯金ラボ」の「冷凍博士」こと、東京海洋大学 特任教授 鈴木徹先生に、その真偽を聞いてみました。
「そして、以下の3つのポイントを意識して保存すると冷凍した野菜を料理に使いやすくなる」と鈴木先生。
①1回の調理に必要な分だけ小分けにして保存
味噌汁の具にしたり、スープに入れたり、薬味にしたりと、野菜によって使い方もさまざま。自分の使いやすい用途や量を考えて小分けして保存するとよいでしょう。さらに解凍のときを考えて、団子状にしないで平板状に冷凍すると早く均一に解凍できます。
②下処理をしてから保存
野菜によってサッと火を通すもの、しっかりゆでるもの、生のままカット処理するもの、つぶしておくものなど。それぞれの特徴によって必要な下処理をしてから冷凍しましょう。
③包装方法の使い分け
長期間冷凍保存する場合は、小分けにした野菜をバリア性の高い「サランラップ®」で包んでから、ジッパー付きの保存袋の「ジップロック®フリーザーバッグ」に入れると、野菜の水分の蒸発や空気中の酸素による色の変化が防げます。また、数日間で使い切る野菜や薬味など、頻繁に使う野菜は「ジップロック®フリーザーバッグ」に直接入れて保存すると使いやすさも二重丸です。用途に合わせ、食品の保存の仕方を変えながら、日々の料理に役立てましょう。
野菜ごとに適した保存方法が一目瞭然「一目でわかる!冷凍・解凍チャート®」活用術
ではさっそく野菜を冷凍保存してみようと思ったとき、そのまま冷凍したほうがいいのか、下処理が必要なのか、解凍方法はどうすればいいの…? などの疑問が浮かんできますよね。先のアンケート結果でも、ここで戸惑っている方の意見が出ていました。
じつは、野菜の種類によって、適した冷凍保存の方法と解凍方法が異なります。
そこで今回は、ゆとりうむプロジェクトがピックアップした冷凍保存&活用術を2つご紹介します。
冷凍保存術①キャベツ
まずは、キャベツ。
丸ごと保存すると、冷蔵室(野菜室)でかさばってしまいますよね。すぐに使わない分はお好みの大きさに切って、生のまま冷凍保存するのがおすすめ。
料理に使うときは、電子レンジで軽く解凍して水けを絞れば、塩をふらなくても、しんなりとして、まるで“塩もみ”されたような状態になります。そのキャベツをコールスローやあえもの(塩昆布あえ、ごまあえ)にすれば、手軽に一品増やせます。
焼きそばや、炒め物など、加熱して調理に使う場合は、凍ったまま加熱してもOK。ただ水分が出ていくことがあるので、加熱時間を延ばして水分を飛ばしたり、加える水分量を少なめにしたり、工夫をすることで、より上手く調理できます。
東京海洋大学 特任教授 鈴木徹先生
さらにコンパクトに冷凍保存するならば、キャベツをゆでてからがおすすめです。キャベツを使いやすい大きさに切り、熱湯で10秒ほどサッとゆでます。冷水で色どめをして水けをよくふき取りましょう。使いやすい分量ずつ「サランラップ®」で包み、「ジップロック®フリーザーバッグ」に入れ、なるべく空気を抜いてジッパーを閉めてから、冷凍室に入れます。
使用するときは、凍ったまま汁物に入れたり、サッとゆでて水けを絞り、あえ物や餃子の具にしたりするとおいしく食べられます。
冷凍保存術②トマト
続いては、トマトとミニトマト。
トマトはヘタを取ってから「ジップロック®フリーザーバッグ」にそのまま入れる「まるごと冷凍」がおすすめです。
調理に使うときは、室温におくか、電子レンジで半解凍するとトマトの皮がつるりとむけるので、湯むきの手間が省けます。
トマトをカットして保存する場合は、1回分を小分けにして「サランラップ®」で包んでから、「ジップロック®フリーザーバッグ」に入れて冷凍室に入れます。
新鮮なトマトに比べて冷凍トマトは食感がやわらかくなっているので、そのままスープや煮込み料理に使用するのがおすすめ。解凍時に出る水分にはトマトのうま味が含まれているので、ぜひそのまま料理に活用してください。
このように、野菜の冷凍保存を成功させるカギは、その種類に適した保存と解凍にあります。そこで活用していただきたいのが、「サランラップ®」や「ジップロック®フリーザーバッグ」を販売する旭化成ホームプロダクツが公開している「一目でわかる!冷凍・解凍チャート®」。
このチャートは、野菜に加え、肉・魚や食材ごとの冷凍保存方法、解凍方法、保存時に使用するアイテム(製品)が記載された一覧表になっているので、印刷して料理中も見える冷蔵庫などに貼っておくと、すぐ確認できて便利です。
「野菜は冷凍しない方がいい?」はウソ? ホント?
『ウソ』!
多くの野菜はそれぞれの野菜に適した方法であれば冷凍保存できます。冷凍すると野菜の老化や栄養価の低下を抑えて長期保存することができるので、おいしさや栄養価も長持ちさせたまま、料理に使うことができます。
保存するときは、食材ごとに適したアイテムを活用するのがおすすめ。ラップはバリア性の高い「サランラップ®」で包むことで、酸素を通さず酸化を防ぎ、野菜の水分を保つことで新鮮なまま保存することができます。
さらに、冷凍からレンジ解凍までOKな「ジップロック®フリーザーバッグ」と組み合わせるなど、食材ごとに適したアイテムを活用するのがおすすめ。
野菜の冷凍保存で、お得なときのまとめ買いも、食べたいときにいつでも手軽に野菜を食べることも、両方あきらめない生活を送っていきましょう。
スーパーで買ってきた野菜は、各野菜に適した方法であれば冷凍保存しても問題ありません。野菜は収穫後も“呼吸”しており、生長をつづけています。生長すると野菜の老化や、栄養の低下を招いてしまうのですが、低温で保存をすると呼吸を抑えることができるのです。野菜室も低温ですが、さらに温度が低い冷凍室の温度では、野菜の中の反応がほぼ止まるため、長期の保存に適している場所でもあります。また、栄養価の低下もゆるやかにしてくれるのが、大きなメリットですね。
東京海洋大学 特任教授 鈴木徹先生